ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女
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状況設定、ストーリー展開、登場人物や動物の位置づけなどなど、童話やおとぎ話はこうでなくてはならないという見本のような、このジャンルの、まさに王道を行く作品。その性質上、「ロード・オブ・リング」や、「ハリー・ポッター」等とどうしても較べられるだろうが、基本的にはまったく別種の作品だと考える。つまり大人の童話と子供たちの童話。だからといって子供たちのものが質が劣るというのではない。大人よりもはるかに感受性の豊かな子供向け童話こそ、より精密な描写が求められる。経験値や、個々の判断基準を持ち、ストーリーの飛躍を補える大人より、子供のほうがその作品だけに限定した評価を下そうとするシビアな観客であるから。悪があって善が対抗して、善はしばしば危機に陥るが、勇気と友情と連帯でついに悪に打ち勝つ。このシンプルで明快な展開こそ得がたい童話としての命でさえある。世の親たちが、ぜひ自分の子供に見せてやりたいなと思うに違いない豊かなふくらみを持った、夢のある作品だろう。
ただ一つ気になる点、導入部がすこし重苦しい。もっと軽やかな、これから冒険が始まるというワクワク感を盛り立てるようなシチュエーション設定があればよかったのにと思う。壮大な物語の心がうきたつような第一章、すばらしい夢の世界に連れて行ってくれる。
- 公開日
- 2006年3月4日(土)
- 監督
- アンドリュー・アダムソン
- 製作年
- 2005
- 製作国
- 米
- 原題
- THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND
- 上映時間
- 140
- INTRODUCTION
- 20世紀を代表する英国作家C.S.ルイスが描いた『ナルニア国物語』は、全7巻からなるファンタジー・シリーズ。全世界で8,500万部という驚異的なセールスをあげ、今なお年間600万部以上売れている不滅のロングセラーである。まさに、世界中で愛され続けてきた英国ファンタジーの最高峰。この原作の映画化は長年にわたり不可能と言われてきた。しかし、近年の映像テクノロジーの進化は数々のファンタジー作品を生み出し、その集大成として本作の映像化が実現したのである。ディズニーは同スタジオ史上最大のスケールで、まずはシリーズ第1作目である『ライオンと魔女』を2005年に完全映画化することに成功した。監督は、初監督作品「シュレック」がいきなりアカデミー賞に輝き、続く「シュレック2」で「タイタニック」「スター・ウォーズ」に次ぐ全米歴代3位の興行収入を上げたアンドリュー・アダムソン。製作は「レインマン」でアカデミー賞受賞のマーク・ジョンソン。そして、特殊効果を手がけるのは「ロード・オブ・ザ・リング」「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」でアカデミー賞に輝くリチャード・テイラーと、彼が率いるWETAデジタル社のデザイン・チーム。視覚効果は「スパイダーマン2」のソニー・イメージワークス社と、アカデミー賞に輝くリズム&ヒューズ社のコラボレーションによる歴史的ポスト・プロダクション。出演は、カーク教授役に「アイリス」でアカデミー賞助演男優賞を受賞したジム・ブロードベント、白い魔女役に「オルランド」のティルダ・スウィントンなど、実力派俳優が結集。また、ペベンシー家の4兄妹を英国中から選ばれた4人の天才子役俳優たちが演じている。
- STORY
- 第二次世界大戦下のイギリス。ペベンシー家の4人の兄妹、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーは、ロンドンの空襲を逃れて田舎に住むカーク教授に預けられる。教授の広大な屋敷。そこは、子供たちにとって最高の探検場所だった。好奇心旺盛な末っ子のルーシーは、“かくれんぼ”をしているうちに、空き部屋で大きな古い衣装だんすをみつける。見えない力に導かれるかのように衣装だんすに入り、毛皮のコートを押しのけて奥に進むと…いつしかルーシーは雪に覆われた真夜中の森に立っていた。そこは、ナルニア──不思議な生きものたちが暮らす魔法の国。かつて、偉大なる王アスランが作ったこの素晴らしい国は、美しく冷酷な“白い魔女”によって、永遠に春の来ない冬の世界に閉ざされていた。“白い魔女”への恐怖と心まで凍てつくような寒さの中で、ナルニア国の住人たちはひたすらに祈っていた。偉大なる王アスランの帰還と、伝説にあるケア・パラベルの城の4つの王座の主が現れるのを…。ルーシーが衣装だんすを通り抜けた時、ナルニア国の新しい時代は幕を開けた。時にナルニア暦1000年。ピーター、スーザン、エドワード、ルーシー。二人の“アダムの息子”と二人の“イブの娘”の壮大なる旅が、いま始まろうとしている。ナルニア国の運命が自分たちにゆだねられていることを、彼らはまだ知らなかった。
- CASTING
- ●ウィリアム・モーズリー イギリス出身。ジェームズ・アイヴォリー監督の「ジェファソン・イン・パリ若き大統領の恋」、テレビ映画「グッドバイ・ミスター・チップス」に出演。 ●アナ・ポップウェル ピーター・ウェーバー監督の「真珠の首飾りの少女」「ミー・ウィズアウト・ユー」「リトル・ヴァンパイア」に出演。 ●スキャンダー・ケインズ ロンドン出身。9才でロイヤル・シェークスピア・カンパニーの舞台「マクベス」に出演。TV映画「エンゾ・フェラーリ」に出演。 ●ジョージー・ヘンリー イングランド出身。2000人以上の中からルーシー役を射止めた。本作で映画デビュー。 ●ティルダ・スウィントン 1960年生まれ。デレク・ジャーマン監督の「カラヴァッジオ」で映画デビュー。「エドワードll」ではヴェネチア映画祭主演女優賞受賞。「オルランド」「コンスタンティン」に出演。
- 配給会社
- BVIJ